グリコカリックス(glycocalyx)は、細胞表面を覆う糖タンパク質や多糖類からなる構造体です。主に血管内皮細胞の表面に存在し、血液中の液体成分が血管外に漏れ出すのを防ぎ、血液のスムーズな流れを助ける役割を果たしています。
この構造が損傷すると、血管透過性が増加し、液体が血管外へ漏れ出しやすくなります。グリコカリックスは、炎症や虚血再灌流障害、過剰輸液などの病態によって損傷を受けることがあります。特に敗血症では、免疫反応によってグリコカリックスが破壊され、血管透過性が異常に増加することがあります。
これが進行すると、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの重篤な病態を引き起こすことがあります。
また、グリコカリックスの構造と機能の解明は、ICUでの輸液療法の改善にも寄与しています。グリコカリックスの保護や回復を考慮した治療法が模索されており、これにより患者の予後が改善される可能性があります。
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