在職老齢年金とは

在職老齢年金は、60歳以上の老齢厚生年金受給者が就労し、一定以上の賃金を得ている場合に、その老齢厚生年金の一部または全部の支給を停止する制度です。この制度は1965年に導入され、高齢者の就労と年金受給のバランスを取ることを目的としています。主なポイントは以下の通りです:

  1. 適用対象:
  • 70歳未満で厚生年金保険に加入している人
  • 70歳以上で厚生年金保険の適用事業所に勤めている人
  1. 計算方法:
    年金の支給停止額は、基本月額(加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額)と総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額と過去1年間の標準賞与額の1/12の合計)に基づいて計算されます
  2. 2024年度の変更点:
  • 支給停止調整額が48万円から50万円に引き上げられます
  • これにより、年金と給与・賞与の月額合計が50万円を超えると年金の支給が調整されます5
  1. 制度の変遷:
  • 1965年:65歳以上の在職者に対して導入(支給割合は本来の年金額の8割)
  • 1969年:65歳未満にも適用拡大(低在老)
  • 1985年:65歳以上の適用を廃止(高在老の廃止)
  • 2000年:65歳以上に再度適用(高在老の復活)
  1. 制度の目的:
  • 60歳台前半:低賃金の在職者の生活保障
  • 65歳以降:就労インセンティブの確保と現役世代とのバランス調整

在職老齢年金制度は、高齢者の就労促進と年金財政の安定化を図るために設計されていますが、複雑な計算方法や年金受給額の減額により、一部の高齢者にとっては就労意欲を低下させる要因にもなっています。2024年度の調整額引き上げは、この課題に対応する一つの施策と言えます。

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